おまとめローンは、多重債務に悩む方にとって強力な解決策となる一方で、誤った認識や準備不足で利用するとかえって損をするケースもあります。
「月々の返済が減るならお得だろう」 「まとめたら生活が楽になるに違いない」
──そんなイメージを持っていませんか?
本記事では、おまとめローンに潜むデメリットや注意点を徹底解説し、契約前に知っておくべき“落とし穴”を明らかにしていきます。安易な選択を避け、賢くローン整理を進めるための知識としてお役立てください。
【1】「月々の返済が減る=得」ではない理由
おまとめローンの最大の誤解は、「毎月の返済が減ればお得」という思い込みです。
確かに返済額が軽くなることで精神的な余裕が生まれますが、その裏には“返済期間の延長”という大きなデメリットが隠れています。
◼ 返済額は下がっても、利息総額は増える?
例えば、毎月5万円の返済を3万円に下げる代わりに、返済期間が5年から10年に延びた場合、結果的に支払う利息は大幅に増加します。
このように、月々の支払い額だけに注目すると、総支払額で損をするリスクがあります。申込前には、必ず返済シミュレーションを行い、トータルでの負担を確認しましょう。
【2】返済期間の長期化は将来の負担になる
返済が楽になるのは一時的なものであり、長期の返済は生活に“見えない重荷”を背負うことになります。
- 転職・病気・家族の変化など、予期せぬライフイベント
- 住宅ローンや教育資金など新たな出費の発生
- 年齢を重ねることによる収入減少
これらのタイミングで、依然としておまとめローンの返済が残っていると、将来的に深刻な負担となる可能性が高まります。
「今が楽になる」ことばかりを重視せず、「5年後・10年後の自分」を見据えた契約が重要です。
【3】銀行系は審査が厳しい傾向にある
金利の低さが魅力の銀行系おまとめローンですが、審査のハードルは高めです。
◼ 銀行系ローンの審査で見られる項目
- 年収と借入額のバランス(年収の1/3を超えない)
- 安定した職業・勤続年数(正社員・公務員など)
- 過去の信用情報(延滞や債務整理歴)
もしこれらに不安がある場合は、無理に銀行系を狙わず、消費者金融系で柔軟な審査を受ける方が現実的なケースも多くあります。
【4】クレジットカードの利用制限がかかる場合も
おまとめローンの契約内容によっては、クレジットカードのキャッシングやリボ払いを整理することが条件になることがあります。
その結果、
- クレジットカード自体が利用停止になる
- ショッピング枠も制限される
- 公共料金やサブスクの引き落としができなくなる
といったトラブルに発展する可能性があります。
特に、生活の中でカード払いを多用している人は、影響の大きさをあらかじめ把握しておくことが重要です。
【5】生活管理が甘くなると再び多重債務に
「借金を一本化したから、これで安心」──それは大きな間違いです。
おまとめローンはあくまで“整理”であり、“完済”ではありません。借入総額は変わらず残っており、さらに新たな借入を重ねてしまうと、状況はかえって悪化します。
◼ よくある失敗パターン
- まとめた安心感から、再びクレジットカードを使い始める
- 生活費が足りず、別のローンで借入してしまう
- 「完済した気分」になって浪費してしまう
本当にお金の管理を立て直すには、「おまとめ=ゴール」ではなく、「おまとめ=スタートライン」として再出発する意識が必要です。
【6】契約時に見落としがちなコスト(保証料・事務手数料など)
おまとめローンは、金利以外にも隠れたコストが発生することがあります。
◼ よくある追加費用
- 保証料:保証会社を利用する際にかかる費用(融資金額の数%)
- 事務手数料:契約時に数千〜数万円程度かかることがある
- 印紙税:契約書の作成に伴う税金
これらの費用は商品ごとに異なり、契約時に説明されても意外と見落とされがちです。
実際の金利が低くても、これらの費用を含めると「思ったよりも高かった」と感じる場合もあるため、トータルコストで比較する視点を持ちましょう。
【7】おすすめできる人・できない人の違いとは?
◼ おすすめできる人
- 複数の借入を整理したい強い意思がある
- 家計の見直しと返済計画の再設計を真剣に考えている
- 新たな借金を増やさない自制心がある
◼ おすすめできない人
- 借入を“完済”と誤解している
- 借金を繰り返す生活習慣が改善できていない
- おまとめ後もクレジットカードや他社ローンを使う予定がある
おまとめローンはあくまで“再出発のきっかけ”です。根本的な家計改善の意識がなければ、いくらローンをまとめても意味がないのです。
まとめ:おまとめローンは万能ではない。リスクと効果を理解した上で活用しよう
おまとめローンには確かにメリットがあります。ですが、それは正しく使った場合に限られます。
「月々の返済が軽くなった」ことに安心して、再び借入を繰り返せば、かえって多重債務を悪化させる結果にもなりかねません。
- 総返済額は増えないか?
- 生活への影響はないか?
- 長期的な返済計画を立てているか?
これらをしっかりと見極めて、初めておまとめローンは有効な手段になります。
短期的な安堵に流されず、冷静にリスクと向き合いながら、あなたにとって最も良い選択肢を見つけてください。
コメント