「今ある借金をまとめるついでに、少し多めに借りて余裕を持っておきたい」──そう考える方は少なくありません。しかし、おまとめローンはあくまで借金の整理を目的としたローンであり、その性質上、“多めに借りる”ことには制限があるのが一般的です。
この記事では、**おまとめローンで多めに借りることは可能なのか?**という疑問に対して、借入限度額の仕組み、追加借入の可否、代替手段、総量規制との関係、審査時の注意点などを詳しく解説していきます。
【1】おまとめローンの借入限度額とは?
おまとめローンの限度額は、金融機関ごとに異なりますが、基本的には**「既存の借入総額まで」が上限**になります。たとえば、合計150万円の借金をまとめたい場合、150万円までの借入が認められるということです。
◼ なぜ借入総額までなのか?
おまとめローンは「返済の負担を軽減すること」が主目的であり、新たな資金調達手段ではありません。そのため、新規の使途を伴う“多めの借入”は本来の趣旨から外れるため、制限されるのが一般的です。
◼ 銀行系の場合
銀行によっては500万〜1,000万円の限度額が設定されている商品もありますが、実際の借入可能額は審査により、借入希望額=既存借入額+α に対して厳格な精査が行われます。
【2】おまとめローンで追加借入はできるのか?
多くのおまとめローン商品では、「追加借入不可」というルールが明確に設定されています。これは、返済専用のローンであることが理由です。
◼ 返済専用とは?
- 新たな借入を行うことはできない
- 返済スケジュールに沿って、残高を徐々に減らすローン設計
- 借入先が元の金融機関ではなく、新しい一本化先になる
代表的な商品例:
- プロミス「おまとめローン」
- アコム「借換え専用ローン」
- アイフル「おまとめMAX」
これらはいずれも、追加借入には対応していないため、「多めに借りておきたい」「あとから少し借りたい」という目的では利用できません。
【3】どうしても多めに借りたい場合の選択肢
どうしてもおまとめ時に追加で資金を確保したいという方は、以下のような選択肢が考えられます。
◼ 通常のカードローンを併用する
おまとめローンで既存の借入を整理したうえで、別のカードローンで追加の資金を調達する方法です。これにより、必要な資金を確保することはできますが、
- 返済先が1社増える
- 管理の手間が戻る
- 金利の高い借入になる可能性がある
など、再び返済負担が複雑化するリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。
◼ 最初から“多目的ローン”を利用する
銀行系には、おまとめと資金使途の自由を兼ね備えた「多目的ローン」という選択肢もあります。これならおまとめ+αの借入が可能になるケースもあります。
例:
- みずほ銀行「多目的ローン併用型」
- 住信SBIネット銀行「フリーローン」
【4】総量規制との関係にも注意
おまとめローンは「総量規制の例外」となるケースが多いですが、追加借入分については“例外”ではなくなる可能性があります。
◼ 総量規制とは?
- 貸金業者からの借入が年収の3分の1までに制限される制度(貸金業法)
◼ 例外貸付けの条件(おまとめローンが対象外となる理由)
- 借換え後の金利が低くなること
- 月々の返済額が増加しないこと
- 元本が減っていく設計であること
→ しかし、「多めに借りる」ことで金利が上がったり返済額が増えると、例外条件を満たさず、総量規制の適用対象となる可能性があります。
【5】多めに借りる場合の審査ポイント
おまとめローンであっても、借入額が増えればそれだけ**審査のハードルは高くなります。**特に多めに借りたい場合、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
◼ 安定した収入の証明
- 年収300万円以上が一つの目安(借入額による)
- 正社員、公務員、勤続年数が長い人は有利
◼ 信用情報の健全性
- 延滞や遅延の履歴がないか?
- 申込履歴が短期間に集中していないか?
- クレジットカードの使いすぎ、キャッシング枠の残高もチェック対象
◼ 借入件数と借入額のバランス
- すでに借入件数が4件以上あると、通過が難しくなる
- 返済総額が年収の1/2を超えるとリスク高
これらを満たしていない場合、多めの借入を希望しても、審査落ちや減額回答となる可能性があります。
まとめ:おまとめローンは返済専用、追加借入には慎重な判断を
「今後のために少し余裕を持って借りておきたい」と考えるのは自然なことですが、**おまとめローンの本質は“借金の整理と負担軽減”**です。
- 基本的には既存借入額までが上限
- 追加借入は原則不可(返済専用ローン)
- 多めに借りたい場合は、カードローンや多目的ローンも要検討
- 総量規制の影響や審査ハードルにも注意が必要
安易に「ついでに借りておこう」と考えるのではなく、**本当にその資金が必要か?無理のない返済計画が立てられるか?**を自問することが大切です。
おまとめローンは正しく活用すれば、借金の再スタートを支える強力な味方です。多めの借入は“最後の選択肢”として、慎重に判断しましょう。
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